ネット販売に係る売上げを隠蔽した等とは認められない事例:
1.事実:会社員である請求人は、副業として出店し
ていたネットショップに係るインターネット販売の
収益について、所得税等及び消費税等の期限後申告
をした。
2.原処分庁の主張:請求人は、ネットショップに
おいて、出品者プロフィールに実在しない会社名
を、代表者欄には請求人と同姓の母の姓名を記載
するなどして取引名義を仮装し、本件ネット販売
を行っていた事実を隠蔽していた。
請求人が故意に自らの名前を記載せず、借名等を
した行為により無申告の結果が生じており、
国税通則法第68条<重加算税>第2項に規定する
「隠蔽し、又は仮装し」に該当する。
3.審判所の判断:国税通則法第68条に規定する
重加算税は、過少申告加算税、無申告加算税
又は不納付加算税を課すべき納税義務違反が
事実の隠蔽又は仮装という不正な方法に基づ
いて行われた場合に、違反者に対して課せら
れる行政上の措置である。ここでいう、
「事実の隠蔽」とは、課税標準等又は税額の計算
の基礎となる事実を隠蔽又は故意に脱漏する
ことをいい、「事実の仮装」とは、所得及び財産
あるいは取引上の名義等に関し、あたかも事実
であるかのように装う等の故意に事実をわい曲
するものと解される。
請求人は、顧客からの問合わせ先に自身のメール
アドレスを表示し、出品者プロフィール画面や
発送伝票に自身の携帯番号を記載していたほか、
発送伝票の依頼主の住所として請求人の住所地
を記載し、顧客に対しても、請求人の母ではなく
請求人自身が本件ネット販売を行っていることを
示している。
したがって、課税標準等又は税額の計算の基礎
となる事実の隠蔽又は仮装の行為があったとは
いえない、とした。
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