役員退職給与の支給に係る退職の事実認定:
2022/02/1
1.退職所得に該当する退職手当等とは、「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与」とされています(所法30①)。
2.「退職すなわち勤務関係の終了という事実によってはじめて給付されるものがこれに当たるのであるが、形式的にそうした事実がみられないものであっても、実質的にみてこれらの性質を有する給与に該当する場合には退職所得に該当する」こととされています(最判昭58.9.9,最判昭58.12.6)。
3.役員の分掌変更等に伴い支給するもので当該役員が実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合など、一定の要件に該当するものは退職給与として取り扱われます(法基通9-2-32、所基通30-2)。
4.現行の取り扱いでは、実質的に退職したと同様の事情があるか否か、引き続き法人の経営上主要な地位を占めていないか、という事実認定を巡って、訴訟が絶えないものとなっており、具体的な事情に基づいて判断する必要があります。
5.特に同族会社にあっては、法人の内部関係における状況のほか、例えば、主要な取引先や取引金融機関への周知の事実、法人の借入金について個人保証がある場合のその変更の有無、その者の生活や就労の状況等といった間接的な事象が、その判断の指標となります。
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